大阪・池田市の高原誠一郎税理士事務所

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税務調査手続等に関するFAQ

(2013年3月22日 12:50)
先日TAINS(日税連税法データベース)において重要な資料が発表になりました。

税務調査等に関するFAQは、国税庁ホームページに(一般納税者向け)と(税理士向け)とがアップされました。

しかしこれとは別に、内部の職員用のFAQがあるということが判りましたので、情報公開法により開示請求を行い、入手しました。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」は項目数など
分量が多いので、大変かと思いますが
ぜひ目を通していただき、改正後初めての
税務調査にしっかり対応していただきたいと思います。

事前通知

事前通知の方法

Q. 事前通知は調査の何日前までに行えばよいのか?

改正通則法第74条の9第1項には、「あらかじめ、当該納税義務者に対し、...実地の調査を行う旨を...通知するものとする。」と規定されており、
何日前までに通知するかについての定めはありませんが、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるという本改正の趣旨を踏まえ、
調査開始日前に相当の時間的余裕を置いて行うこととします。
また、事前通知に当たっては、納税義務者等の都合を聴取し、必要に応じて調査日程を調整することとします。
なお、事前通知の実施に当たっては、納税義務者等に対し、通知事項が正確に伝わるよう分かりやすく丁寧な通知に努めることに留意願います。

Q. 納税義務者と電話による連絡が取れないことから、納税地に臨場したところ納税義務者と面接することができた場合、その場で事前通知を行い調査に移行することはできるか?

事前通知の方法は、法令上、特段規定されていませんので、納税地に臨場の上、納税義務者に直接、口頭にて事前通知を行うことは可能ですが、改正通則法第74の9条第1項には、「あらかじめ、当該納税義務者に対し、...実地の調査を行う旨を...通知するものとする。」と規定されていますので、原則として、そのまま調査に移行することはできません。
また、改正通則法第74条の10に規定する「その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」には、事前通知を行うため相応の努力をして電話等による連絡を行おうとしたものの、応答を拒否され、又は応答がなかった場合、事業実態が不明であるため、実地に臨場した上で確認しないと事前通知先が判明しない等、事前通知を行うことが困難な場合
などが該当しますので(手続通達4-10)、質問のような場合は、法令等に基づき、事前通知を要しない調査に該当するかを検討した上で、事前通知を行わずに臨場することも考えられます。

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事前通知の有無

Q. 災害等のやむを得ない事情により調査を中断した後に、改めて実地の調査を行う際には、事前通知は必要か?

災害等のやむを得ない事情により調査を一時中断し、その事情が解消された後に再度調査を開始する場合には、
法令上の事前通知を行う必要はありませんが、改めて納税義務者等と日程調整を行い、理解と協力を得た上で実施することとします。

Q. 実地の調査以外の調査として、電話により納税義務者に申告内容の確認を行っていたが、その後、納税義務者の事業所に臨場して調査を実施することとなった場合、改めて事前通知を行うことは必要か?

法令上、納税義務者に対して臨場して質問検査等を行う場合は、あらかじめ事前通知を行うこととされていますので、実地の調査を行う前に、実地の調査以外の調査として電話による申告内容の確認を行っていたとしても、納税義務者の事業所に臨場して調査を実施することとなった場合は、原則として、事前通知を行った上で実地の調査を実施する必要があります。

Q. 実地の調査の過程で、実質所得者を把握した場合、事前通知は必要か?

実地の調査の過程で、その納税義務者たる個人が単なる名義人であり、他に実質所得者と想定される個人がいることを把握し、当該実質所得者たる個人に対して実地の調査を行う場合は、改めて当該実質所得者たる個人に対し、法令上の事前通知を行う必要があります。
なお、事前通知することにより違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれが認められる場合は、臨場先から統括官等に電話により承諾を得た上で、事前通知を行うことなく実地の調査を実施することになります。

また、法人に対する調査の過程において、当該代表者が単なる名義上の代表者であり、ほかに実質経営者がいることを把握したため、当該実質経営者に対して質問検査等を行う場合は、その主宰する法人に対する実地の調査を実施していることに変わりはないことから、法令上の事前通知を改めて行う必要はありません。

Q. 法定監査の際に、当該監査先の申告内容について非違が疑われた場合、どのような手続で調査に移行すべきか?

法定監査の際に、当該監査先の申告内容について非違が疑われた場合は、改めて当該監査先に対し、法令上の事前通知を行った上で実地の調査を行うことになります。
この場合、監査担当者においては、「重要資料せん」や「各課部門事務連絡せん」など非違の内容に応じた連絡せん等を作成し、調査担当部門に引き継ぐこととします。
なお、事前通知することにより違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれが認められる場合は、臨場先から統括官等に電話により承諾を得た上で、事前通知を行うことなく実地の調査を実施することになります。

Q. 納税義務者の取引先等に対して反面調査を行っていたところ、当該取引先等の申告内容について非違が認められた場合、どのような手続で調査に移行すべきか?

納税義務者の取引先等に対する反面調査の過程において、当該取引先等の申告内容に非違が認められた場合は、当該取引先等の所轄署の調査担当者が改めて、当該取引先等に対し、法令上の事前通知を行った上で実地の調査を行うことになります。
なお、この場合において、当該取引先等が、反面調査を実施している調査担当者の所掌であり、事前通知することにより違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれが認められる場合には、上記にかかわらず臨場先から統括官等に電話により承諾を得た上で、事前通知を行うことなく実地の調査を実施することになります。

Q. 青色申告承認申請や電子帳簿保存法に係る承認申請等の各種申請の承認の適否の確認のために、納税義務者の納税地に臨場する場合、事前通知は必要か?

納税義務者の事業所等に臨場し、各種申請に対する処分に係る事実の確認等(質問検査等)を行う行為も、実地の調査に該当しますので、法令上の事前通知が必要となります(手続通達1-1(2))。

Q. 一般収集又は特別収集を実施する場合において、収集先の事業所等に臨場して資料収集する場合、事前通知は必要か?

一般収集又は特別収集は、任意の協力依頼(行政指導)により実施しているものであり、調査には該当しませんので、収集先の事業所等に臨場して実地で資料収集する場合であっても、法令上の事前通知は必要ありません。
なお、運用上は、従前どおり、事前通知を行わないとする特段の事情がない限りは、事前に連絡し、日程調整を行った上で臨場することとなります。

Q. 租税条約に基づく情報交換実施のための調査について、事前通知は必要か?

租税条約に基づく情報交換実施のための調査は、改正通則法に規定する質問検査権の対象外となるため、法令上の事前通知を行う必要はありません。
なお、運用上は、従前どおり、事前通知を行わないとする特段の事情がない限りは、事前に連絡し、日程調整を行った上で臨場することとなります。

Q. 法定監査を実施する場合、事前通知は必要か?

法定調書の提出義務者は、改正通則法第74条の9において事前通知の対象となる納税義務者には含まれませんので、監査先に臨場して法定監査を実施する場合であっても、法令上の事前通知を行う必要はありません。
なお、運用上は、従前どおり、事前通知を行わないとする特段の事情がない限りは、事前に連絡し、日程調整を行った上で臨場することとなります。

Q. 消費税の還付申告が提出され、還付保留審査をすることとなったが、還付理由等を確認するために、納税義務者の納税地に臨場する場合、事前通知は必要か?

還付申告書の提出に対して、還付理由等を確認するため納税義務者の納税地に臨場して質問検査等を行う場合は、実地の調査に該当しますので、原則として、法令上の事前通知を行う必要があります。

Q. 異議決定のための手続において、異議申立人の納税地に臨場して、異議申立人の意見陳述を聴くこととなったが、事前通知は必要か?

改正通則法第84条第2項に基づいて、異議申立人の意見陳述を聴くことは、質問検査権の行使ではないため、法令上の事前通知は必要ありません。
ただし、不服申立事務提要に基づき、意見陳述等の日時等の通知は従前のとおり必要となります。

Q. 官公署への協力規定に基づき、官公署に臨場する場合、事前通知は必要か?

官公署への協力要請は、改正通則法第74条の12において規定されており、当該規定に基づき官公署において任意の協力依頼に基づき情報の収集を行う場合や、反面調査はいずれも事前通知の対象外であることから、法令上の事前通知を行う必要はありません。
なお、運用上は、従前どおり、事前に連絡する必要があると判断した場合には、連絡します。

Q. 各種団体に対する「諮問」については、事前通知の対象となるのか?

事業を行う者の組織する団体に対する「諮問」については、改正通則法第74条の12において規定されており、当該規定に基づく諮問は事前通知の対象外であることから、法令上の事前通知を行う必要はありません。
なお、運用上は、従前どおり、特段の支障がない限りは、事前に連絡し、日程調整を行った上で臨場することとなります。

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調査開始場所等

Q. 調査初日に、複数の場所(自宅と事業所)で調査を行うことを予定しているが、「調査開始場所」はどのように通知すればよいか?

調査開始場所については、改正通則法施行令第30条の4第2項において、「調査を開始する日時において同項に規定する質問検査等を行おうとする場所」と規定されており、初日に複数の場所で同時に調査を行う場合は、臨場する場所を全て通知することになります。

Q. 納税義務者の住所又は居所」は、源泉所得税の調査にあっては、「源泉徴収の対象とされている給与等の支払事務を取り扱う事務所や事業所等を通知することになるのか?

「住所又は居所」については、改正通則法施行令第4条において、「事務所及び事業所を含む」とされていることから、源泉所得税の調査に当たり、「納税義務者の住所又は居所」について、基本的には源泉徴収の対象とされている給与等の支払事務を取り扱う事務所や事業所等を通知することになります。

調査の目的

Q. 「調査の目的」に、選定理由の通知は含まれるのか

調査の目的については、改正通則法施行令第30条の4第2項において、「納税申告書の記載内容の確認又は納税申告書の提出がない場合における納税義務の有無の確認その他これらに類する調査の目的」を通知することとされており、選定理由の通知は含まれていません。

Q. 納税義務者から、「調査の目的」である選定理由の説明をしてほしいと言われた場合、どのように対応すればよいのか?

「調査の理由」については、法令上の通知事項ではないことを説明した上で、改正通則法施行令第30条の4第2項において、「調査の目的」については「納税申告書の記載内容の確認又は納税申告書の提出がない場合における納税義務の有無の確認その他これらに類する調査の目的」を通知することとされていること、また、判例上も、実定法上特段の定めのない調査の実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益の衡量において社会通念上相当な範囲にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている旨を納税義務者に丁寧に説明の上、調査への理解と協力を求めることとします。

Q. 無申告者の調査において、「調査の目的」は、どのように通知すればよいのか?

無申告者の調査における調査の目的については、改正通則法施行令第30条の4第2項において、「納税義務の有無の確認」とされています。
なお、無申告法人の調査については、内国法人についてはすべからく申告義務があることから、「申告すべき内容の確認」とします。

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調査対象税目

Q. 「調査対象税目」として加算税を通知する必要はないか?

改正通則法第69条において、加算税については、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とすることとされていることから、加算税の通知は不要です。

Q. 所得税や法人税の調査の際には、印紙税についても事前通知を行うのか?

印紙税については、運用上、同時処理を行うことを前提としていますが、同時処理とは、調査の過程で、印紙の貼付もれ等を把握した場合に、その事実を指摘した上で、納税義務者が自主的な見直しをして不納付の申出を行うものであり、当初から印紙税の調査を行うこととしているものではないため、原則として、法令上の事前通知を行う必要はありません。
なお、印紙税単独調査を同時に行う場合は、原則として、法令上の事前通知を行う必要があります。

Q. 源泉所得税は所得税法に規定されていることから、事前通知の段階で「所得税調査」を通知していれば、源泉所得税の調査も含まれていると解してよいか?

調査手続に関する規定においては、調査は税目・課税期間によって特定される納税義務に関してなされるものであることから、当該納税義務に係る調査を原則として一の調査として取り扱うこととなります(手続通達3-1(1))。
したがって、源泉所得税は所得税の一部ですが、源泉徴収に係る所得税の納税義務とそれ以外の所得税の納税義務は別個に成立するものであることから、源泉徴収に係る所得税はそれ以外の所得税の納税義務とは別に、改正通則法第74条の9の事前通知の規定が適用されるものと解されます。そのため、源泉所得税の調査を行う際には、所得税の調査に係る通知とは別に、源泉所得税の調査を行う旨の通知を行うこととなります(手続通達3-1(2)ハ)。

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調査対象期間

Q. 進行期についても、「調査の対象となる期間」として事前通知を行う必要があるのか?

進行期については、更正決定等を目的とした調査の対象期間とはなりませんので、事前通知事項である「調査の対象となる期間」には含まれません。
なお、改正通則法第74条の9第1項の規定により通知を行った「帳簿書類その他の物件」には、調査の目的を達成するために必要であるときは、例えば、「調査の対象となる期間」として事前通知した期間以外の期間(進行年分を含む。)に係る帳簿書類その他の物件も含まれます(手続通達1-5)。
したがって、事前通知した調査の対象となる期間(年分・事業年度)の納税申告書の記載内容の確認のために、進行期に作成・取得された帳簿書類等を検査することは可能です。

Q. 所得税と消費税の同時調査を行う際に、調査対象期間が相違する場合(消費税の課税事業者に該当しない年分が含まれている場合)には、どのように通知すればよいのか?

所得税と消費税を同時調査する場合において、必ずしも、事前通知を行う調査対象期間が一致していなくとも問題ありません。したがって、それぞれの税目ごとに調査対象期間を通知することとなります。

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調査対象物件

Q. 「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」における「その他の物件」というのはどのようなものを指すのか?

「その他の物件」とは、例えば、金銭、有価証券、棚卸商品、不動産(建物・土地)等の各種資産や、帳簿書類の(作成の)基礎となる原始記録などの当該調査又は徴収の目的を達成するために必要な物件が該当します(手続通達1-5)。

Q. 「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」は、どの程度、通知すればよいのか?

調査の対象となる帳簿書類その他の物件について、網羅的に通知することは実際上困難ですので、納税義務者の事前の準備に資するよう、例えば、「仕訳帳、総勘定元帳...などの帳簿や請求書、領収書綴り...などの書類」といった調査開始時に用意しておいていただきたい主な帳簿書類等を明示した上で、「その他○○税の申告書の記載内容や納付すべき○○税が正しいかどうかを確認するために必要な帳簿書類その他の物件」といった包括的な通知を行うこととします。
また、この場合、改正通則法施行令第30条の4第2項において、「国税に関する法令の規定により備付け又は保存しなければならないこととされているものである場合にはその旨を併せて通知するものとする。」と規定されていることから、このような帳簿保存義務がある納税義務者の場合には、例えば、「所得税法の規定により保存することとされている仕訳帳、総勘定元帳...などの帳簿や請求書、領収書綴り...などの書類のほか...」といった通知を行う必要があります。

Q. 「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」の作成期間や対象期間を通知する必要はあるのか?

法令上、帳簿書類の作成期間や対象期間を通知することとはされていませんが、事前に準備を依頼する依頼する(ママ)場合などは、必要に応じて通知します。
なお、事前通知した課税期間の調査について必要があるときは、事前通知した当該課税期間以外の課税期間(進行年分を含む。)に係る帳簿書類その他の物件も質問検査等の対象となることに留意してください(手続通達4-5)。

Q. 無申告者に対する調査の場合には、「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」についてどのように通知すればよいのか?

調査を実施するに際し、納税義務者に事前に電話で確認できるのであれば、どのような帳簿書類等が保存されているかを聴取した上で、調査開始日に用意しておいていただきたい帳簿書類等を明示し、「その他○○税の納税義務の有無(法人税の場合は、「納税義務の有無」に代えて「申告すべき内容」)を確認するために必要な帳簿書類その他の物件」といった包括的な通知を行うこととします。

Q. いわゆる電子帳簿保存法の承認を受けている納税義務者に実地の調査を行う場合、「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」は、どのように通知するのか?

帳簿書類その他の物件については、改正通則法施行令第30条の4第2項において、「国税に関する法令の規定により備付け又は保存しなければならないこととされているものである場合にはその旨を併せて通知するものとする。」と規定されています。
一方、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(以下、「電子帳簿保存法」)においては、国税関係帳簿書類を「国税に関する法律の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿(又は書類)」と規定し、承認を受けた場合には当該承認を受けた国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもってその備付け及び保存に代えることができるとされていることから、電子帳簿保存法の承認を受けている納税義務者の調査の対象となる物件は、承認を受けた国税関係帳簿書類に係る「電磁的記録」になります。
したがって、電子帳簿保存法の承認を受けている帳簿書類等については、例えば「所得税法の規定により保存することとされている帳簿書類等に係る電磁的記録...」と通知することとなります。
この場合、「調査手続チェックシート(事前通知用)」の「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」欄には『「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」の承認を受けている帳簿書類にあっては、その電磁的記録』と記載することとなります。

Q. 「その他の物件」には、いわゆる電子帳簿保存法に規定するパソコン、プリンター、操作マニュアル等も含むのか?

改正通則法第74条の2から法第74条の6までの各条に規定する「帳簿書類その他の物件」には、国税に関する法令の規定により備付け、記帳又は保存をしなければならないこととされている帳簿書類のほか、各条に規定する国税に関する調査又は徴収の目的を達成するために必要と認められる帳簿書類その他の物件も含まれます(手続通達1-5)ので、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(以下、「電子帳簿保存法施行規則」)において備え付けることとされている電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンター並びにこれらの操作説明書は、改正通則法第74条の2から法第74条の6までに規定する「その他の物件」に含まれます。

Q. 消費税の基準期間の調査のために、調査対象期間以前の「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」を検査する必要があるが、どのように通知すればよいのか?

消費税の調査において、消費税の納税申告書の記載内容を確認するため、当該納税申告書の事業年度を調査対象期間として通知した場合には、通知した事業年度の申告の確認のために、基準期間の帳簿書類等の検査を行うことは事前通知した調査の範囲内であることから、調査対象期間以前に作成又は取得された帳簿書類その他の物件の調査を行う場合であっても、事前通知した事業年度の申告内容の確認のために調査を行うのであれば、「○○年分の○○税が正しいかどうかを確認するために必要な帳簿書類その他の物件」といった包括的な通知を行うことになります(手続通達4-5)。

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調査担当者

Q. 事前通知は、調査担当者が行う必要があるか(調査に臨場しない統括官等が事前通知を行うことは可能か)?

改正通則法第74条の9第1項には、「税務署長等は、国税庁等又は税関の当該職員に納税義務者に対し実地の調査を行わせる場合には、あらかじめ...当該納税義務者...に対し、...その旨...を通知する」と規定されており、質問検査等を行う当該職員が通知することに限定した規定とはなっていないことから、担当統括官等が事前通知を行うことは可能です。
(注) 法令上、事前通知を行う主体は税務署長等であるが、税務署長等が質問検査等を行う職員等にその権限を委任している。

Q. 人事異動の結果、繰越事案の「調査担当者」を変更する場合、改めて事前通知を行うのか?

法令上、事前通知した調査担当者を変更する場合の手続きは規定されていませんので、改めて事前通知を行う必要はありませんが、調査は、納税義務者の理解と協力を得ながら、円滑に行う必要があることから、運用上、調査担当者を変更する場合は、その旨を速やかに納税義務者に連絡することとします。

Q. 調査中に納税義務者が所轄署以外の納税地に転出した場合、転出先の所轄署において改めて臨場するときは、事前通知を改めて行うのか?

調査の過程において納税義務者が他署に転出した場合、当該転出元署には、当該納税義務者の申告等について更正決定等を行う権限はありませんので、転出までの間に実施していた調査について、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」の通知や調査結果の内容説明を行う必要はありません。
また、転出先署においては、転出元署から引き継がれた調査に関する情報等に基づき、実質的に調査を継続することになりますので、法令上の事前通知を改めて行う必要はありませんが、臨場して調査を実施する場合には、納税義務者に対し、事前に、当該転出先署において転出元署で実施していた調査を継続する旨及び転出先署の調査担当者名を連絡し、日程調整の上、臨場することになります。

Q. 上席調査官と調査官の2名で調査する場合、「調査を行う当該職員の氏名・所属官署」はどのように通知するのか?

事前通知事項である「調査を行う当該職員の氏名・所属官署」については、改正通則法施行令第30条の4第1項第2号において、「当該職員が複数であるときは、当該職員を代表する者の氏名及び所属官署」と規定されていることから、当該調査の主たる担当者名等を通知し、その際には、運用上、併せて臨場人数も通知することになります。

Q. 一般調査部門の調査に国際税務専門官(又は情報技術専門官)の支援を受けることとなった場合、「調査を行う当該職員の氏名等」はどのように通知するのか?

基本的に、支援を受ける一般調査部門の調査担当者の氏名・所属官署を、法定された事前通知事項として通知することとなります。
なお、法令上、臨場する全員の職員の氏名等を通知することとはされていませんが、他署の国際税務専門官(又は情報技術専門官)が、調査に同行することが予定されている場合は、必要に応じ、同行する職員の氏名及び所属官署(臨場人数を含む。)も併せて連絡することとなります。

Q. 資料調査課と署との合同事案の場合、「調査を行う当該職員の氏名等」はどのように通知するのか?

改正通則法施行令第30条の4第1項第2号において、事前通知の際には、調査を行う当該職員の氏名及び所属官署(当該職員が複数であるときは、当該職員を代表する者の氏名及び所属官署(臨場人数を含む。))を通知することとされていますので、局特別調査(局署合同調査)においては、資料調査課の担当総括主査、担当専門官又は担当主査を、調査担当者を代表する者として事前通知するとともに、所轄署の調査担当者(代表する者)の氏名等についても併せて通知することとなります。

Q. 調査初日に調査担当者がやむを得ず変更となった場合の手続はどうするのか?

法令上、事前通知した調査担当者を変更する場合の手続きは規定されていませんので、改めて法令上の事前通知を行う必要はありませんが、事前通知事項である「調査を行う当該職員の氏名」が変更されることとなるため、その旨を速やかに納税義務者に連絡した上で調査を実施することになります。

Q. 調査初日や調査中に担当者を追加することはできるのか?

法令上、事前通知に係る通知事項として規定されている、調査を行う当該職員の氏名及び所属官署は、当該職員が複数であるときは、当該職員を代表する者の氏名等を通知することとされており、調査初日や調査中に担当者を追加することは可能と考えられますが、税務調査は、納税義務者の理解と協力を得ながら、円滑に行う必要があることから、そのような場合には、その旨を速やかに納税義務者に説明することとなります。

Q. 調査初日に複数の調査場所で同時に調査を行う場合は、その調査場所ごとに、調査を行う職員名等を通知するのか?

調査初日に、同一の納税義務者に対し複数の調査楊所で同時に調査を行う場合(例:A調査官(本店)、B調査官(支店))は、事前通知事項として、調査を行う場所とそこで調査を行う職員の氏名・所属官署(複数の場合は代表する者の氏名・所属官署)をそれぞれ通知し、併せて、運用上、調査場所ごとの臨場人数も連絡します。

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事前通知の相手方

Q. 納税義務者の親族に対して、納税義務者に事前通知の内容を伝えるよう依頼することは可能か?

改正通則法第74条の9第3項において、事前通知の相手方は、実地の調査の相手方となる納税義務者とその税務代理人(税務代理権限証書を提出している者に限る。)とされています。
したがって、個人の納税義務者への事前通知については、税務代理人を通じて行う場合を除き、納税義務者本人に事前通知を行う必要がありますので、納税義務者の親族に依頼することはできません。

Q. 納税管理人が選任されている場合は、誰に事前通知を行えばよいのか?

納税管理人が選任されている場合においては、納税管理人を通じて納税義務者に対し事前通知を行うことになります。

Q. 納税義務者が国内に住所や居所あるいは法人における事務所・事業所を有していない場合で、納税管理人が選任されていない場合は、納税義務者に対しどのように事前通知を行えばよいのか?

納税義務者が国内に住所や居所あるいは法人における事務所・事業所を有していない場合で、納税管理人の選任もない場合には、例えば調査対象者の親族や関連法人など、調査対象者と国内で連絡をとれる者を探し、その者を通じて納税管理人を定める手続を行った上で、その納税管理人を通じて事前通知の手続を行うこととなります。

Q. 未成年者・成年被後見人が納税義務者になっている場合は、誰に事前通知を行えばよいか?

納税義務者が未成年者や成年被後見人などの場合で、納税義務者が事前通知の内容について十分に理解することが困難な場合においては、その法定代理人・成年後見人を通じて納税義務者に事前通知を行うこととしても差し支えありません(手続通達3-5参照)。

Q. 納税義務者が被保佐人である場合は、誰に事前通知を行えばよいか?

被保佐人は意思表示の受領能力を有する(民法98条の2)ことから、基本的には被保佐人に対する事前通知を行うこととなりますが、実質として事理弁識能力が著しく不十分であるなど、本人に通知することが適当でない場合には、個々の事案に応じて判断することとなります。

Q. 事前通知した法人の代表者が調査中に死亡した場合、改めて事前通知を行う必要があるか?

法令上、特段の手続きは規定されていませんので、改めて法令上の事前通知を行う必要はありませんが、事前通知の内容が引き継がれていないことも考えられますので、運用上は、前代表者に事前通知した内容を改めて説明した上で調査を実施することとなります。

Q. 複数税目(所得税、相続税、法人税等)の同時調査(例:法人税の調査と共に、法人代表者に対し所得税、相続税の同時調査を実施する場合など)では、事前通知を行う対象者が同一であるが、それぞれに事前通知が必要か?

法人に対する法人税の調査とその法人の代表者に対する所得税、相続税の調査を同時に実施する場合は、調査の対象となる納税義務者が法人と個人(法人の代表者)とで異なりますので、法令に基づき、納税義務者それぞれに対して事前通知を行う必要があります。(調査日時、調査開始場所の変更)

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調査日時、調査開始場所の変更

Q. 「多忙である」ことは合理的な理由になるのか?

単に多忙であることをもって、合理的な理由に該当するとは判断できませんが、多忙であることの具体的内容を聴取し、個々の実情を斟酌した上で、「業務上やむを得ない事情」として調査日時等の変更が可能か否か検討することになります(手続通達4-6)。

Q. 合理的な理由が認められなかった場合、不服申立てはできるのか?

改正通則法第74条の9第2項には、「税務署長等は、...通知を受けた納税義務者から合理的な理由を付して、...(調査を開始する日時又は調査を行う場所)について変更するよう求めがあった場合には、当該事項について協議するよう努めるものとする」と規定されています。当該規定は、行政手続法でいう「申請」に当たるものではなく、納税義務者からの求めに対して何らかの処分を行うものではないことから、税務署長等が、合理的な理由が認められないと判断した場合であっても、不服申立ての対象にはなりません。

Q. 納税義務者等が調査の開始の日時又は場所の変更を希望する場合は、どのように申し出ればよいのか(納税義務者等が提出すべき書類等はあるのか)?

事前通知事項の変更の申出の方法については、特に法令で定められていないことから、原則として、口頭による申出で差し支えありません。

Q. 事前通知を行った後において、納税義務者等から調査日時の変更の申出があったが、その申出の理由が合理的なものと認められない場合、担当者が当初通知した調査日時で臨場することは可能か?

単に多忙であることを理由に、繰り返し調査日時の変更を申し出るなど納税義務者等からの変更の申出の理由が合理的なものと認められない場合は、その旨を納税義務者等に十分説明し、事前通知した日時により調査を行うことになります。

Q. 事前通知後に当局側から調査の開始日時又は場所を変更できるのか?

法令上、当局側の都合により、事前通知した調査開始日時又は場所を変更する場合の手続については特段規定されていませんので、従来どおり、真にやむを得ない場合などに限り、納税義務者等と協議の上、変更することは可能です。
なお、法令上の規定はありませんが、納税義務者等との協議により事前通知した調査開始日時や調査開始場所を変更した場合に、変更後の調査開始日時や場所を誤解のないように納税義務者等に伝える必要があります。

Q. 事前通知した事項以外の事項について非違が疑われ、質問検査等を行う場合には、その非違が疑われた内容を納税義務者に説明するのか?

法令上、非違が疑われた内容について納税義務者に説明する義務はありませんが、調査を円滑に進める観点から、調査に支障がないと判断される場合には、その範囲内で、説明することは差し支えありません。

Q. 事前通知した調査対象税目以外の税目につき、質問検査等を行う場合とは、具体的にどのような場合をいうのか?

例えば、法人税・所得税等の調査の過程で確認した各種書類について、事前通知していない印紙税の納付(印紙貼付)漏れが疑われる場合や、資産課税部門における譲渡所得の調査の過程において、金銭の流れを検討した結果、事前通知していない贈与税の申告漏れが疑われる場合などが該当します。

Q. 事前通知した調査対象期間以外の課税期間につき、質問検査等を行う場合とは、具体的にどのような場合をいうのか?

事前通知した調査対象期間を調査している過程で非違を把握し、その非違が認められる取引先との取引が調査対象期間よりも前の課税期間にも存在するなど、調査対象期間よりも前の課税期間にも同様の非違が疑われる場合などが該当します。

Q. 「通知した事項以外の事項について非違が疑われることとなった場合」として調査範囲を拡大したが、問題がなかった場合、手続の瑕疵となるのか?

改正通則法第74条の9第4項には、「第1項(事前通知)の規定は、当該職員が、当該調査により当該調査に係る同項第3号から第6号(調査の目的、調査の対象となる税目、期間、帳簿書類その他の物件)以外の事項について非違が疑われることとなった場合において、当該事項に関し質問検査等を行うことを妨げるものではない」と規定されています。
すなわち、当該規定は、適正公平な課税の観点から、調査担当者が、調査の過程において、通知事項以外の事項について非違が疑われると判断した場合には、当該通知事項以外の事項についても質問検査等を行うことができることが確認的に規定されたものであり、結果として非違が把握されなかったとしても、調査手続上の瑕疵には当たらないものと考えられます。
なお、上記の場合には、通知した事項以外の期間において非違が把握されていませんので、当該期間において、納税義務者に対して「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」を送付する必要があります。

Q. 調査中に、支店、工場等の調査が必要となった場合も、事前通知した事項以外の調査に当たるのか?

改正通則法施行令第30条の4第2項には、「同法74条の9第1項第2号(調査を行う場所)については、調査を開始する日時において同項に規定する質問検査等を行おうとする場所」と規定されています。すなわち、事前通知においては、調査を開始する時点における調査場所を通知することとなりますので、調査開始後に、納税義務者の理解と協力を得た上で、事前通知していなかった支店や工場等に臨場して質問検査等を行うことは、事前通知した事項以外の調査には当たりません。

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税理士関係

Q. 納税義務者が調査立会いを依頼しないと言っている税務代理人に対しても事前通知が必要か?

事前通知が必要か否かは、形式的には税務代理権限証書の提出の有無により判断しますが、調査に際し税務代理が解消されている事実を把握した場合には、当該事実に基づき税務代理の有無を判断することとなります。
したがって、納税義務者に対して事前通知を行った際に、納税義務者が税務代理人に対して調査立会いを依頼しない(税務代理を依頼しない)との申立てがあった場合には、委嘱契約の有無を確認し、税務代理が解消されている場合には、当該税務代理人に対して事前通知を行う必要はありません。
(注) 税務代理が解消されていない場合は、税務代理人に対しても事前通知を行う必要がある。

Q. 複数の税務代理人が、税務代理権限証書を提出しているが、全ての税務代理人に対して事前通知が必要か?

調査を行う時点において、税務代理人の関与が解消されていない限り、全ての税務代理人に対して事前通知する必要があります。
なお、同一の税務代理権限証書に複数の税務代理人の名が連記されている場合においても、全ての税務代理人に事前通知する必要があります。

Q. 調査対象期間の中で税務代理人が交代している場合、双方の税務代理人に対して事前通知を行うのか?

事前通知は、直近の調査対象期間に係る申告書とともに税務代理権限証書を提出している税務代理人に対してのみ行うことになります。

Q. 税務代理人が、納税義務者への調査初日には立ち会わない場合、税務代理人に対する事前通知の「調査開始日時」は、どのように通知するのか?

税務調査は、税務代理人に対して行うものではなく、納税義務者に対して実施するものであることから、事前通知すべき調査開始日時は、納税義務者に対して調査を開始する日時を通知することになります。 したがって、税務代理人が調査初日に立ち会わない場合であっても、納税義務者に対する調査開始日時を通知することになります。

Q. 税理士法人の場合には、誰に事前通知を行えばよいか?

税務代理権限証書を提出している税理士法人に電話を行い、代表社員税理士又は担当の社員税理士のいずれかに対して事前通知することとなります。

Q. 書面添付制度(税理士法第33条の2)に係る意見聴取を行った場合、事前通知は行うのか?

税理士法第33条の2第1項、第2項の規定による書面を申告書に添付している税務代理人(税務代理権限証書を提出している者に限る。)に対して、同法第35条第1項の規定による意見聴取を行った場合においても、当該意見聴取の結果、実地の調査において質問検査等を行うときは、調査に移行する旨を税務代理人に伝えた後に、調査対象となる納税義務者及び税務代理人に対して事前通知を行うことになります。

事前通知を行うことなく調査を実施する場合

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事前通知を行うことなく調査を実施する場合の判断

Q. 「当該納税義務者の営む事業内容に関する情報」とは、具体的に何を指すのか?

改正通則法第74条の10に規定する「その営む事業内容に関する情報」とは、例えば、事業の業種・業態又は取引内容若しくは決済手段などの具体的な営業形態などが該当するものと考えられます。

Q. 「その他国税庁等若しくは税関が保有する情報」とは、具体的に何を指すのか?

改正通則法第74条の10に規定する「その他国税庁等若しくは税関が保有する情報」とは、例えば、
? 報道機関による報道、インターネット上のホームページ、刊行物など、公開されている情報源に基づき収集した情報
? 法定調書や職員が独自に収集した資料情報
? 調査対象者の従業員、取引先等から寄せられた情報
などが該当するものと考えられます。

Q. 現金取引を行っていることのみをもって、事前通知を行うことなく調査を実施することは可能か?

現金取引を行っているという事実は、事前通知を行うことなく調査を実施する場合の判定の一要素にはなるものの、それのみをもって判断することはできません(手続通達4-7)。事前通知を要しない調査の適否検討に当たっては、決済手段のみならず、内外観調査を含めた資料情報、過去の調査状況、申告内容等から事前通知の例外事由に該当するかを総合的に判断することとなります。

Q. 「過去に不正計算があった」という理由だけで、事前通知を行うことなく調査を実施することは可能か?

過去に不正計算があったという事実は、事前通知を行うことなく調査を実施する場合の判定の一要素にはなるものの、それのみをもって判断するのではなく、内外観調査を含めた資料情報、過去の調査状況、申告内容等から、事前通知を要しない調査の適否を検討する時点において、事前通知の例外事由に該当するかを総合的に判断することとなります。

Q. 「同業者に不正計算が多い」という理由だけで、事前通知を行うことなく調査を実施することは可能か?

「同業者に不正計算が多い」という理由は、事前通知を行うことなく調査を実施する場合の判定の一要素にはなるものの、それのみをもって判断するのではなく、内外観調査を含めた資料情報、過去の調査状況、申告内容等から事前通知の例外事由に該当するかを総合的に判断することとなります。

Q. 個人事業を営んでいた際に毎回多額の不正があり、原始記録等も破棄していた個人事業者が法人成した場合に、その状況をもって事前通知の例外事由に当たると判断できるか(法人成後、調査未実施)?

個人事業時の調査内容も、代表者の税に対する認識という観点から、事前通知を行うことなく調査を実施する場合の判定の一要素にはなるものの、それのみをもって判断するのではなく、内外観調査を含めた資料情報、申告内容等から事前通知の例外事由に該当するかを総合的に判断することとなります。

Q. 無申告者の実態確認のために、納税義務者の納税地に臨場したところ、納税義務者に会うことができたので、情報の提供等を要請したいと考えているが、可能か(改めて事前通知が必要か)?

納税申告書の提出がないため納税申告書の提出義務を確認する必要がある場合において、当該義務があるのではないかと思料される者に対して、当該義務の有無を確認するために必要な基礎的な情報(事業活動の有無等)の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて納税申告書の自発的な提出を要請する行為は、調査ではなく行政指導に該当します(手続通達1-2(3))。
したがって、臨場により無申告者の事業活動の状況等について確認し、
?申告義務の説明及び自主的な申告書の提出依頼を実施する行為は行政指導に該当します。
なお、?の行政指導の際に、納税義務者の方から帳簿書類等を提示し、職員に申告指導を依頼するような場合は、当該帳簿書類等を確認しつつ申告指導を実施しても差し支えありません。
しかしながら、?更正決定等を目的として、帳簿書類等の提示を求め、個別具体的な非違事項を指摘する行為は、質問検査権の行使であり実地の調査に該当しますので、
?の行為を行う場合には、法令上の事前通知を行う(事前通知の例外事由に該当する場合には事前通知を行うことなく調査を行う)など、一連の調査手続を実施する必要があります。 このように、納税義務者と接触する場合には、その目的によって行政指導に該当するか、調査に該当するかが異なることになりますので、行政指導又は調査を行う際には、納税義務者に対しいずれの事務として行うかを明示した上でそれぞれの行為を行う必要があります。

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臨場後の対応

Q. 事前通知を行うことなく調査を実施する場合に、納税義務者からその理由を問われた場合、どのように説明すればよいか?

法令上、事前通知を行うことなく調査を実施する場合にその理由を納税義務者に説明することは規定されていません。また、判例上も、実定法上特段の定めのない調査の実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益の衡量において社会通念上相当な範囲にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられており、事前通知を行わなかった理由についても、質問検査等を行う上での法律上の一律の要件とされているものではない旨を納税義務者に丁寧に説明の上、調査への理解と協力を求めることとします。
なお、事前通知を行うことなく実地の調査を実施する場合であっても、運用上、納税義務者に対し、臨場後速やかに、「調査の目的」、「調査の対象となる税目」、「調査の対象となる期間」、「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」、「調査対象者の氏名又は名称及び住所又は居所」、「調査担当者の氏名及び所属官署」「通知事項以外の事項についても、調査の途中で非違が疑われることとなった場合は、質問検査等の対象となる旨」を通知してから質問検査等を開始することに留意する必要があります。

Q. 事前通知を行うことなく調査を実施した結果、特に非違事項が認められなかった場合、事前通知の手続違反となるのか?

改正通則法第74条の10の規定は、事前通知を行うことなく調査を実施した結果として必ず非違が発見されることを要件としているものではありませんので、必要な判断を適切に実施している限りにおいては、調査の結果として非違事項が認められなかった場合であっても、訴訟において、手続違反と判断されることにはならないものと考えられます。

Q. 事前通知を行うことなく調査を実施する場合、臨場後に、税務代理人にも連絡する必要はあるのか?

法令上、事前通知を行うことなく調査を実施する場合に、臨場後、税務代理人へ連絡することは特段規定されていませんが、運用上、当該税務代理人に対しても、臨場後速やかに納税義務者へ通知した事項を通知します。
なお、税務代理権限証書の提出はないものの、申告書に署名・押印を行っている税理士があり、納税義務者が当該税理士の立会いを求める場合には、当該税理士に対しても納税義務者へ通知した事項を通知するとともに、税務代理権限証書の提出を指導することとなります。

提出物件の留置き

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留置きの対象

Q. 「留置き」と「預かり」は異なるのか?

改正通則法において規定された「物件の留置き」については、運用上行われていた納税義務者等から提出された物件の預かり・返還等に関する手続を法令上明確化するものであり、納税義務者等から預かる帳簿書類等や預かる理由など、その取扱いについては基本的に現行手続と変わるものではなく、実務においては、従来どおり、質問検査等の相手方となる者の理解と協力の下、その承諾を得て行うことに留意する必要があります。
なお、法令に定められたことに伴い、「預り証」の交付時に納税義務者等の受領の署名・押印が必要になることや、留め置く物件について善管注意義務が課せられていることにも留意する必要があります(手続通達2-1、2-2)。

Q. 留め置くこととなる物件に、電子データは含まれるのか?

当該職員が納税義務者等の了解の下、電子記録媒体に保存されている電子データを、その場で税務署の電子記録媒体(USB等)に複写することにより提出を受けた場合は、法令上の「留置き」には該当しません(手続通達2-1)。
なお、この場合、複写した電子データについては、従来どおり厳格に管理する必要があります。

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留置きの方法・手続

Q. 国税の調査について必要があるとき」とは、具体的にはどのような場合をいうのか?

「国税の調査について必要があるとき」とは、
? 質問検査等の相手方の事務所等で調査を行うスペースがなく調査を効率的に行うことができない場合
? 帳簿書類等の写しの作成が必要であるが調査先にコピー機がない場合
? 相当分量の帳簿書類等を検査する必要があるが、必ずしも質問検査等の相手方となる者の事業所等において当該相手方となる者に相応の負担をかけて説明等を求めなくとも、税務署や国税局内において当該帳簿書類等に基づく一定の検査が可能であり、
質問検査等の相手方となる者の負担や迅速な調査の実施の観点から合理的であると認められる場合
? 不納付となっている印紙税の課税文書等の物件等について、後日、課税上の紛争が生ずるおそれがあるなど証拠保全の必要が認められる場合などが該当すると考えられますが、いずれにしても、質問検査等の相手方の理解と協力の下、その承諾を得た上で実施する必要があります。
また、留め置く必要がなくなったときには、遅滞なく、交付した預り証と引き換えに留め置いた物件を返還することに留意する必要があります。

Q. 納税義務者等に対し、留置きを目的として、物件の郵送を依頼することは可能か?

留置きは、実地の調査等の際に納税義務者等から任意に提出された物件を、納税義務者等の承諾を得た上で預かるものであり、その際、預かる物件の名称や数量など必要な事項を記載した書面(預り証)をその物件を提出した者に交付し、署名・押印を求める手続を要することから、納税義務者等に対し、留置きを目的として物件の郵送を依頼等することは適当ではありません。
なお、机上調査等において、契約書の写しや元帳の写しなどの郵送を依頼する(提出された写しは返還を求めないとの申し出があり)ことがありますが、これは、法令上の「物件の留置き」には該当しません。

Q. 局現業部門における実地の調査等において、納税義務者等の事業所等が遠隔地である場合、そこで預かった帳簿書類等をその所轄署で保管する場合があるが、この場合の部内手続(管理者の確認等)はどのように行うのか?

局現業部署における実地の調査等において、遠隔地にある納税義務者等の事業所等にある物件を、その所轄署に留め置く場合には、局現業部署の調査担当者が実施した留置きに係る手続の確認を、当該調査担当者の管理者に代わって当該所轄署の筆頭統括官等が行うこととして差し支えありません。
なお、留め置いた物件については、当該筆頭統括官等が適切に保管・管理することとなります。

Q. 複数の店舗に同時に調査を実施する場合などで、各店舗の店長等の責任者から帳簿書類等を預かる場合には、店長等の納税義務者本人以外の者に「預り証」を交付するのか?

法令上、預り証は、当該物件を提出した者に交付することとされており、必ずしも納税義務者本人に限定されていません。したがって、留置きは、その物件を提出した者の承諾の下、預り証をその提出した者に交付することとなります。
なお、質問のような場合には、調査対象者である当該納税義務者本人に対しても、電話等により留置きを行う旨の理解と協力を求め、その承諾を得た上で、店長など一定の権限を有する者に預り証を交付し、物件を留め置くことが適当と考えられます。

Q. 通帳等の名義が異なる物件を留め置く場合は、どのように対応するのか?

納税義務者等から提出を受けた他人名義の物件について留め置く必要がある場合には、原則として、その名義人の承諾を得た上で留め置くことが必要と考えられます。
なお、この際の、預り証の交付先は、その物件を提出した納税義務者等で差し支えありません。
また、その物件の名義が実質と異なり、納税義務者等本人に帰属するものと認められる場合には、当該納税義務者等本人の承諾により留め置くことができると考えられます。

Q. 留め置いた物件をコピーする場合に、事前に納税義務者等の承諾が必要か?

一般的に、帳簿書類等を留め置いた場合には、必要に応じ、その(一部の)写しをとるものと考えられますので、事後の無用のトラブルを避けるため、物件を留め置く際には、納税義務者等に、必要に応じ写しをとる旨を説明することとします。

Q. 留め置いている物件の閲覧の申出があった場合は、閲覧の手続が必要か?

留置きした物件の閲覧の申出があった場合には、特段の手続は必要なく、担当者立会いの下で閲覧に応じることになります。
なお、当該物件について写しをとるなどにより留め置く必要がなくなった場合には、遅滞なく、交付した預り証と引き換えに留め置いた物件を返還することに留意する必要があります。

Q. 「留め置く必要がなくなった場合」とはどのような場合か?

法令で規定する「留め置く必要がなくなった場合」とは、留め置いた物件について署内で必要な検査が終了した場合、又は署内でその物件に係る必要な写し(コピー)をとった場合等が該当するものと考えられます。

Q. 留め置いた提出物件のうち一部について留め置く必要がなくなった場合には、その都度、返還するのか?

物件の返還については、原則として、留め置いた物件の全部を、交付した「預り証」と引き換えに返還することとなりますが、納税義務者等から一部について返還の求めがあり、返還しても特段の支障がない場合には、適正に返還されたことを客観的に証明する手段として、「預り証」の備考欄に、「左記の物件については平成○年○月○日に返還を受けました。○○○○〈印〉」と納税義務者等に署名・押印を求めた上で、返還することとなります。

Q. 納税義務者等から返還請求があった場合、どのように対応するのか?

納税義務者等から預かり、留め置いている帳簿書類等については、留め置く必要がなくなった段階で、遅滞なく返還する必要がありますが、留め置く必要性がなくなる前に、納税義務者等から返還の求めがあった場合には、特段の支障がない限り、返還に応じることになります。
なお、「特段の支障」とは、例えば、以下のようなものが考えられます。
? 留め置いた物件のコピー等に相当な時間を要するため、遅滞なく返却することが困難な場合
? 留め置いた電子記録媒体内のデータを署内のパソコンで確認する際、データ変換等
に時間を要し、すぐに返還することが困難な場合
ただし、上記の場合であっても、納税義務者等に対し、遅滞なく返却することが困難な理由及び返却可能な日時について口頭で説明し理解を求めるとともに、「調査経過記録書」にその旨を記載する必要があります。

Q. 納税義務者等から、「預り証を返還しなければならない法律上の根拠はあるのか」と問われた場合、どのように答えるのか?

「帳簿書類等の物件の返還に当たって、納税義務者等の方が『預り証』を返還しなければならないことは、法律上明記されていませんが、適正に返還されたことを客観的に証明する手段として、返還確認欄に署名・押印をしていただいた上で、『預り証』の返還をお願いしている」旨を回答することとなります。

Q. 納税義務者等から、「預り証を今回の税務調査の記録として持っておきたい」と言われた場合、どのように答えるのか?

「預り証は、返還確認欄に署名・押印をしていただいた上で、返却していただくこととなりますが、返却の前にその写し(コピー)をとっていただくことは差し支えない」
旨を回答することとなります。

Q. 返還をする際の相手方は、納税義務者等(物件の提出者)でなければならないか。税務代理人に返還しても構わないか。または、従業員などの納税義務者等以外の者に返還しても構わないか?

物件の返還は、原則として、「預り証」の内容と返還したものに不突合がないことをその物件の提出を受けた納税義務者等に確認していただいた上で行うこととなります。
なお、当該納税義務者等の同意が確認できた場合には、税務代理人や役員など一定の権限を有する関係者に預り証の返還確認欄に署名・押印をしていただいた上で返還しても差し支えありません。

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