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法人が保有する資産を個人利用していた場合の否認指摘に反論

(2013年1月30日 09:47)
税務調査研究会メンバー実例を紹介いたします。 
よくある相談のパターンの1つに、 

法人が所有する車などの資産を役員が個人的に利用していた場合に、 
税務調査でその資産にかかる減価償却費を否認され、 
認定賞与となって源泉まで課されるというものです。 

実際にあるのは、 この資産が高級外車やクルーザーなどの場合が 
ほとんどなのですが、中には「普通の車」で 否認指摘を受けたというケースもあります。 

確かに、法人が所有する車が複数台あって、 
それが超高級車であるとか、仕事ではまったく使用されて 
いないとかであれば、税務調査で問題になるのは 
理解できますが・・・1台を否認しようというのは、まさに課税のための税務調査だと、個人的には思います。 

まず明確に切り分けをしておかなければならないのは、 
所得税と法人税では、個人的利用があった場合の税務処理の仕方が異なるということです。 

所得税に規定されている必要経費の概念は、 
必要経費(37条)がまずあり、その中で家事費および家事関連費は必要経費にならない(45条) 
と規定されています。 

ですから、事業所得の計算上、必要経費に算入できるのは、 
車両等の資産の減価償却費のうち、家事費部分を除いた割合だけとなります。 

例えば、80%が業務の用に供していて、 
20%が個人的利用なのであれば、80%部分だけが 
減価償却費として必要経費に算入できるというわけです。 

所得税のこの考え方と、法人税をごっちゃにしてしまうと、 
上記事案のように、法人が所有する資産の減価償却費も、 
個人利用割合分だけ減価償却費として損金計上が認められず、
かつ使用していた役員等に対する経済的利益の供与として認定賞与と考えがちです。 

しかし、実際には違います。 

法人税法第31条では、

法人が所有する資産 
⇒減価償却費として損金経理 
⇒その分だけ損金になる 

という規定であって、所得税とは違うのです。 
極論してしまうと、法人が有する資産であれば、 
法人の減価償却費になるというわけで、 
その一部だけが損金にならないということはありません。 

この論理を無理やり通すと、法人が所有する資産をまったく事業の用に供さず、
完全に個人利用しても減価償却費になる、となるのですが、これもまた違います。 

このような場合、課税庁が否認する方法は 
「行為計算否認」があります。 

つまり、確かに法人が金銭を支出し、法人が所有する資産には間違いないが、
「税法上(税金の計算上)は使用している個人の資産と考えて所得・税額を計算する」 
という否認のやり方になるわけです。 

ここでいったんまとめると、減価償却費が認めらない場合は、 

所得税:個人的な利用割合だけが必要経費ならない(グレー処理) 
法人税:(割合などなく)全額損金計上できない 
かつ認定賞与になる(つまり白か黒かの2択処理) 

という違いがあるわけです。 

実際に争った事例では、
平成7年10月12日裁決(非公開)で 
「スポーツカーとモーターボートの事業供用」 
が問題になりました。 

簡単に説明しておくと、かなり儲かっている法人が 
高級車やクルーザーを保有していて減価償却していましたが、 
税務調査で否認され、認定賞与として課税された事案です。 

この裁決では、高級車(外車)は損金として認められ、 
クルーザーは認められませんでしたが、間違っても 
減価償却費の一部だけ否認されたという事案ではありません。 
全額認められるか認められないのかが争われたのです。 

ですから、法人に対する税務調査において、 
「車両は役員が個人的にも利用されていますから半分だけ否認します」
という指摘をしてきた場合は、 
法人税法第31条を根拠に「半分だけ否認なんてできない」 
と反論することが可能なのです。 

では、
「本当に0か100かでないと否認できないか?」 
と聞かれると、実は否認する方法はあります。 

それは、「賃貸料を計上させる」ことです。 

つまり、(営利追及目的である)法人が所有する資産を 
役員個人に貸し付けたのですから、適正な賃貸料をとるべき 
だとして、雑収入の計上漏れと否認指摘するのです。 

「適正な賃貸料」がいくらなのか、その計算方法は別にして、 
この指摘を受ければ、おそらく反論する余地はありません。 

弊社への相談の中でも、一部だけ減価償却費を否認指摘された 
ケースはすべて反論しましたが、「では賃貸料で」 
とさらに反論してきた調査官はいませんでしたが、
賃貸料で切り返してくるの日もくるかもしれませんね。

否認指摘でご不明な点は川西池田駅・川西能勢口駅から徒歩15分「高原誠一郎税理士事務所」までお気軽にご相談下さい。

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