大阪・池田市の高原誠一郎税理士事務所

title

高原理士事務所TOP(大阪・池田市) > NEWS > 重加算税と脱税の違い

重加算税と脱税の違い

(2013年8月 9日 05:17)
税理士として一般納税者から「脱税って何ですか?」
と聞かれれば、何と答えるのでしょうか?

正直なところ、この質問に対する答えをきちんとできる人は少ないのではないのかと思います。

さらに難しい(?)質問は、「重加算税(の賦課要件)と脱税の違いって何ですか?」ではないでしょうか。

なぜこのようなことを書くかというと、 「重加算税=脱税」と勘違いされていることがほとんどだからです。

まず脱税の定義ですが、税法上脱税という言葉はありません。
税法上、脱税をした者に対する罰則規定が存在しますので、そちらを見れば脱税の定義がわかります。

法人税法第159条
偽りその他不正の行為により(...略...)法人税を免れ、又は(...略...)違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

というわけで、「脱税」とは税法上の文言で表すと
「偽りその他不正の行為」になるのです。(正確には上記行為を行って税金を免れることです)

では、「偽りその他不正の行為」は税法上罰則規定にしか登場しないのかというとそうではありません。

国税通則法第70条第4項
偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税についての更正決定等又は偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額についての更正は、第1項又は前項の規定にかかわらず、第1項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から7年を経過する日まで、することができる。

このように、「偽りその他不正の行為」をすると、
通常「5年」となっている更正の期間が「7年」に延長されるのです。

さて、再度確認ですが、「脱税」の定義は

「偽りその他不正の行為」をすることで、
→ 税額を免れる(申告すべき税額を過少にする)

というのが要件になります。

ここで大事なのは、脱税に対する罰則は「刑事罰」ということです。
つまり、脱税をしたら懲役または罰金を課すことで
脱税に対する罰を与えるという趣旨によるものなのです。

一方、重加算税(通常35%)は刑事罰ではありません。
ここが勘違いされているところです。

重加算税制度は最高裁判所昭和45年9月11日判決によれば

「各種の加算税を課すべき納税義務違反が課税要件事実を隠ぺいし、または仮装する方法によつて行なわれた場合に、行政機関の行政手続きにより違反者に課せられるもので、これによつてかかる方法による納税義務違反の発生を防止し、もつて徴税の実を挙げようとする趣旨に出た行政上の措置であり、違反者の不正行為の反社会性ないし反道徳性に着目してこれに対する制裁として科せられる刑罰とは趣旨、性質を異にするもの」

であるとされています。つまり、重加算税とは行政罰であり、
35%も課されたくなかったら、「隠ぺい」や「仮装」などという行為をしないようにしない、という趣旨なのです。

この違いは重要です。なぜなら、調査官のほとんどは、脱税=重加算税と思い込んでいるからです。

前後しましたが、重加算税の法律を確認しましょう。

国税通則法第68条第1項
第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

以上より、重加算税とは

隠ぺいor仮装行為をする
→ 納税申告書を提出する

が要件となっています(なお、その前提は過少申告加算税が課されることになります)。

ここで気付いていただきたいのは、「税額を免れた」から重加算税ではないということなのです。

いまだに個別相談の多くは重加算税が論点に含まれています。
ぜひ重加算税の論点を整理してください。

重加算税でご不明な点は大阪池田駅・川西能勢口駅(川西市)から徒歩15分「高原誠一郎税理士事務所」までお気軽にご相談下さい。

contact

税務調査

介護会計

CTPTマーケティング

お客様の声

facebook:高原誠一郎 facebook
高原誠一郎
[高原誠一郎税理士事務所]
池田駅から徒歩7分!

〒563-0025
大阪府池田市城南2-3-1
TEL:072-754-1888
高原税理士事務所は、大阪・池田を拠点とする税理士事務所です。 北摂地域(池田市・箕面市・豊中市・伊丹市・宝塚市・川西市・吹田市・茨木市・摂津市・高槻市・尼崎市・大阪市内)を中心に活動しています。
(その他地域はご相談下さい)

▲PageTOP