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仙台の弁護士の必要経費にかかる裁判

(2012年10月14日 10:50)
この裁判は、去年8月に納税者側(弁護士)が地裁で全面的に敗訴したことで、かなり話題になりました。
主な焦点は、弁護士会関連で支出した費用がどこまで必要経費として認めれるか、という部分です。

今年9月の高裁では、一部の支出が必要経費として認められたものの、認めらなかった経費も多くありました。

所得税法第37条の必要経費(販売費及び一般管理費)の解釈として1審の判決は
業務と直接関係し、かつその業務の遂行上必要である」として、法文にない「直接」を加えて判断していたものです。控訴審判決は、これを改め、法文に忠実に解釈し「事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である」として、弁護士会役員の活動費の必要経費性を判断した点で高く評価されるべきです。
確かに法令上は必要経費の販管費については「直接」という文言がないのですが、税務調査で否認され、裁決・地裁で負けたから高裁までいっていることを認識していただきたいと思います。

まずこの裁判は、弁護士会の役員を務めた原告が、役員としての活動に伴い支出した懇親会費等を事業所得の金額の計算上必要経費に算入、また消費税等の額の計算上課税仕入れに該当するとして申告したところ、税務調査においてこれらの費用については、所得税法37条1項に規定する必要経費に算入することはできず、また消費税法2条1項12号に規定する課税仕入れには該当しないとして更正処分等をした事案ということを確認しておきます。

高裁では地裁判決が一部ひっくり返ったのですが、ポイントは
「原告の事業所得を生ずべき業務と直接関係し、かつその業務の遂行上必要であること」 
が「控訴人の事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であること」に改められたことです。 

つまりいったんの結論として、事業所得に直接要した費用ではないが、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であるか否かを検討し、該当すれば必要経費として認めるという判断になったというわけです。

では、弁護士会の「役員として」の支出はどう判断されたかというと、判決文では
「弁護士会等と個々の弁護士は異なる人格であり、弁護士会等の機関を構成する弁護士がその権限内でした行為の効果は、弁護士会等に帰属するものであるから、控訴人が弁護士会等の役員等として行う活動は、弁護士会等の業務に該当する余地があるとしても、社会通念上、控訴人の「事業所得を生ずべき業務」に該当すると認めることはできない」

としています。つまり、認めていないのです。さらに、
「もっとも、控訴人の弁護士会等の役員等としての活動が控訴人の「事業所得を生ずべき業務」に該当しないからといって、その活動に要した費用が控訴人の弁護士としての事業所得の必要経費に算入することができないというものではない。なぜなら控訴人が弁護士会等の役員等として行った活動に要した費用であっても、これが、先に判示したように、控訴人が弁護士として行う事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な支出であれば、その事業所得の一般対応の必要経費に該当するということができるからである。」

このように判示し、個々の費用について該当するか否かを検討している。
結果は、すべての支出について必要経費と認められたわけではありません。
しかし、仙台弁護士会会長又は日弁連副会長に立候補した際の活動費については、選挙規定に基づく費用の支出は必要経費と認められ、その他の費用は認められませんでした。

結局のところ、
事業との「直接性」「関連性」という、非常に曖昧な判断基準であって、
税務調査の現場では、ここの主張・説明がしっかりなされないと、否認されても仕方ない領域ということだけは間違いありません。

そして、
・個人事業の医者と医療法人では同じ経費でも差があるのか?
・個人事業の弁護士と弁護士法人でも同じ経費でも差があるのか?
など、個人事業主の所得税法第37条と法人の法人税法第22条の話に行き着くわけです。

結論を言うと、「差があります」
税法が違うので差があって当然なのです。

同じなのであれば、違う税法を準用すればいいのですから。
税法が違うということは、そこに立法主旨の違いがあります。

もちろん、法人において役員が個人的な飲食などを損金にした場合、
役員賞与となることは間違いないのですが、
法人はあくまでも「営利事業を行う者」であって、
法人が支出した経費は「売上を上げるためなど、事業のためであること」
が前提条件となりますから、接待交際費などが
事業と(直接)関連しているかどうかは問われない、というわけです。

こういう観点から捉えれば、医療法人はともかくとして、
1人の弁護士で弁護士法人になれる弁護士は、法人成りした方が圧倒的に得だとも言えますし、上記の裁判も弁護士法人だったら問題にならなかったのかもしれません。


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