どの企業から税務調査に行くのかについては、調査官の裁量に任されているところなので、絶対的な基準はないのですが、いくつかポイントがあります。
(1)時間がかかりそうな企業を先に
売上・所得が大きい等の事前調査で、ある程度時間がかかることを想定できるので、早い時期に着手しようという判断です。
逆にいえば、小さな法人であれば年末近くになって着手しても終わるだろうと考えていますので、後回しにしています。
(2)絶対に着手する調査先
調査の事前予告をした際に、先方の都合等で、今すぐ着手できない調査対象先もあることから、
選定数を多めにしています。
例えば、半期で28件の調査件数ノルマを持っていたとすると、30件程度選定しておくわけです。
ただ「絶対にここは今期調査をする」という対象先は決めていますから、そこから手を付けるという判断をしています。
(3)重加算税の課税事績あり
過去に重加算税を賦課している調査対象先は、また重加算税になる確率が高いですし、重加算税ではなくても誤り等が多い法人ですから、早めに調査に着手するようにしています。
そこで、もう1つ調査官が考えていることがあります。
それは「金銀銅」制度です。
実は、修正申告を慫慂した「時期」によって評価が違うという制度があるのです。
※どのくらい評価が上がるのかは明示はできませんが、統括官(調査官の評価者)は間違いなく、金銀銅によって評価の度合いを変えています。
とされており、早い時期に修正申告を取ったら(税務調査を終わらせたら)評価が高くなるのです。
ちなみに、調査官個人にもありますが、部門ごとの税務調査の件数ノルマがあります。
統括官としては、部門のノルマを早く達成したいことから、早めに件数をかせいでおきたい心理が働きます。
そして、国税内部のちょっとややこしいところは、異動や税務調査=事務年度(7月・6月)なのですが、人事評価=年度(4月・3月)となっています。
つまり、1年間の評価は3月末で締めてしまいますので、統括官が7月に変わることを考えると、実は、7・12月の税務調査の結果だけが評価の対象になっているといえるのです。
ということから、人事異動が終わってから、すぐに着手する税務調査が重要になります。
かなり内部の事情ですが、こんな事情を斟酌して調査官は税務調査の順番を決めているのです。
税務調査先の選定方法
(1)KSK(国税総合管理システム)による選定
- 前回から長期間調査が実施されていない
- 所得率(=所得÷売上)が低調
- 同業者の所得率と比較して低調
(2)資料せんとの突合
選ばれた調査対象の見込先について、提出された申告書・決算書等に加えて資料せんと照合し、不明点等を洗い出します。
資料せんは、法定調書と法定外調書に分かれますが、どちらも重要視しています。
提出物の中でも、勘定科目内訳明細書に記載のない取引先が資料せんによって判明するようなケースは、簿外取引の可能性があるとして選定対象になります。
(3)好況調査先の選定
売上が急激に伸びている会社は特に、所得を圧縮しやすい傾向にあるので、真っ先に選定対象になります。
(4)数値異常・赤字法人の選定
決算書の数字で、勘定科目に異常値がある場合、もしくは赤字法人であったとしても、資料せんにおいて帳尻が合わない法人は選定対象となります。
(5)継続管理対象先の選定
優先選定対象から外されたとしても、継続管理対象先は重点的に調査対象先として選定されます。
※継続管理対象先とは、大規模法人と前回の税務調査で重加算税が賦課された法人です。
大規模法人は、一度の税務調査ですべてを把握することが困難であるため、ある一定の周期(3-4年)で調査に入ることになっています。
税務調査に関する事でご不明な点は大阪府池田市の高原誠一郎税理士事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。
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