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税務調査職員録の読み方

(2012年9月18日 05:25)
税務調査では、担当の調査官や統括官の経歴を調べることで、交渉のやり方が変わります。

まず前提条件ですが、地域によっては国税の職員録を税理士会から配布される、もしくは買えるところもありますが、私は「10年職歴」を購入して参考にしています。

この職員録のすばらしいところは、その名の通り、単年ごとの職員録ではなく、全職員の10年分の異動経緯が一覧でわかることです。

もちろん、担当の調査官が現在どの職格にいるのかなどを知ることも大事ですが、もっと大事なのは、過去の経歴を知ることなのです。
※どの職員録も同じですが、7月に異動になった新しい情報は10月にならないと発売になりません。

また、税経さんだけではなくエヌピー通信さんなども職員録を発売していますが、複数の職員録を見比べることをお薦めします。
なぜなら、職員録に誤植が非常に多いからです。

税経さんとエヌピー通信さんの両方に確認しましたが、国税が情報公開法に基づいて開示してる職員の在籍・異動内容ですが、データではなく紙で発行されているようです。
(データでもPDFなので同じ)

それをわざわざアルバイトが手入力をして、そのデータを元に印刷・製本しているとのこと。
ですから、入力ミスがあれば、それだけで誤った情報になってしまうという脆さも持っています。

本題ですが、税務調査の事前連絡が入ると、職員録を見て、下記の順番でチェックしましょう。

(1)調査官の職格・職歴を調べる

1.職格

調査官は通常3パータンに分かれます。

上席:ベテラン
調査官:上席手前
事務官:国税に入って3年未満

ここで注意すべきは、職員録を見て「調査官」などのように官職が載っていないのは事務官(若手見習い中)ということです。

また、担当調査官が上席であっても、何ら偉いわけでも、決裁権を持っているわけでもありませんので注意してください。

上記3パータンに当てはまらない調査官もいます。
「情報技術専門官」や「国際情報官」などです。
特に気をつけなければならないわけではないですが、職格によっては特殊な専門職の場合もあるということだけ覚えていただければ結構です。

2.職歴

調査官を調べる際にもっともチェックすべきは、「数年分の職歴」です。

現在税務署の法人課税部門にいて、過去も税務署が違うだけで、ずっと法人経験者であれば何も気をつけるべき点がありません。

一方、そうではない経歴を持っている調査官には注意です。

・交流:他の部門出身者には要注意です。
国税内は交流といって、3年程度、他部門に異動し、経験を積ませる慣習があります。
担当の税法すらまったくわかっていないケースが多いので、税法で反論するのではなく、書籍などで反論した方がわかりやすくて効果的です。

・転課:交流とは違い、完全に部門を移籍することがあります。
交流のように担当税目をまったく知らないことはないかと思いますが、経験が浅い場合は交流者と同じ対応をした方がいい場合もあります。

・総務出身:元は法人課税などで調査をしていても、総務経験が長いと税法を忘れているものです。細かい指摘事項ではなく、期ズレなどベースになるところだけチェックしておきましょう。

・内部部門(1部門出身):同じ課税部門であっても、内部部門にいると、申告書・申請書などの処理ばかりしていますので、KSKには詳しいものの、調査には疎くなっているケースが多いです。
細かいミスばかり突いてくる調査官が多いです。

・局出身者:特に資料調査課(いわゆるリョウチョウ)は無予告調査を含めて、質問検査権を逸脱した調査を行うケースが多くあります。また修正申告しないなら更正を打とうとする調査官も多いので、駆け引きが非常に重要になります。

また、よく聞かれることとして、国専と普通科があります。
国専とは国税専門官の略称で、大卒採用です。
普通科とは高卒採用なのですが、税務調査の現場ではどちらも取り立てて違いはありません。

(2)統括官の職歴を調べる

統括官以上が決裁者ですから、調査官と同じ程度に配慮すべきなのが、統括官の職歴です。

税務調査でモメた場合は、統括官と交渉する場合がありますが、統括官の職歴によっては、あえて統括官にいかないことも考えられます。特に統括官が資料調査課や査察経験が長い場合は、激しい調査を指示している場合がありますし、抗議に行ったら逆に恫喝される場合もあります。

上席から順当に税務署の統括官になっている場合、話がわかる方が多いはずです。

(3)部門をチェックする

職員録によっては部門の役割が載っているものもあります。
特にチェックしておくべきは、「特別調査部門」です。

この部門は特官部門の事案よりも小さいけれど、現金商売や不正発覚率が高い業種などを中心に、調査を行っている部門です。

基本は2、3人で調査を行っており、事前予告もないケースが多いのですが、事前予告があった場合でも、強硬な調査を行いがちです。

質問検査権を逸脱した調査を行わないか、
税理士としては厳しくチェックしておく必要があります。

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