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重加算税と税務調査のポイント

(2012年9月 2日 08:36)
税務調査での対応は、「法律」「事務運営指針」に基づくだけであって、調査官が言う「不正」などという言葉は度外視していいという考えと、法令等に基づかない、税務調査の現場で行われるバーター等の場外戦は、国税の論理がわかれば税理士として対応に困らないことを踏まえて、ポイントが2点あります。

(1)税務調査における虚偽答弁は重加算税にはならない


今まで、税務調査において納税者等が(誤ってではなく)虚偽答弁をした場合は、それだけで重加算税の対象になると思っていましたが、確かに違うかもしれません。
(断言しないのは、見解の相違はあり得ると思うからです)

上記のように考えていた理由は、法令に基づいたものではなく、本などを読むと、「事実の仮装=虚偽答弁」と書いていたからです。

しかし、国税通則法第68条をよく読むと重加算税の要件は、「隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」ですから、申告書提出「前に」隠ぺい・仮装が行われていることが必要です。

税務調査における虚偽答弁は、申告書提出後にされているものですから、調査官に対して嘘の回答をしてしまったとしても、それをもって重加算税は課されないと考えるべきでしょう。(あくまでも法律の解釈です)

さらにいうと、虚偽答弁に対しては罰則規定があります。

法人税法第162条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 
二 第百五十三条又は第百五十四条第一項若しくは第二項(当該職員の質問検査権)(これらの規定を第百五十五条(質問検査権に係る準用)において準用する場合を含む。) 
この規定による当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者

つまり私の頭の中では、「罰則規定がある=重加算税の対象になる」となっているフシがありました。しかしここで間違ってはならないのは、あくまでも重加算税は罰則制度とは別個のものだということです。

また、混同しやすいものにこの罰則があります。

法人税法第159条
偽りその他不正の行為により、第74条第1項第2号に規定する法人税の額又は第69条、第81条の22第1項第2号に規定する法人税の額若しくは第89条第2号に規定する法人税の額につき法人税を免れ、又は第80条第6項の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

この罰則はいわゆる「脱税」に関する罰則規定であって、あくまでも「偽りその他不正の行為」に関するものですから、これもまた重加算税とはまったく別の規定と考えなければなりません。

ここで強調しておきたいのは、重加算税は不正(脱税)に対する罰則ではなく、あくまでも申告納税制度を担保するために作られた一制度であるということです。

こう考えると、確かに重加算税の要件は狭く解釈しても問題ないと考えることができます。

(2)「重加算税=延滞税の特例計算がなくなる」わけではない


重加算税が課されると、延滞税の除算期間に関する特例が適用されないため、延滞税が高くなると解釈していました。
この理解に何の疑問も持ったことがなかったのですが、法律を読むと違います。

国税通則法第61条(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)
修正申告書(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者が当該国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知して提出した当該申告書を除く。)の提出又は更正(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者についてされた当該国税に係る更正を除く。)があつた場合において、次の各号の一に該当するときは、当該申告書の提出又は更正により納付すべき国税については、前条第二項に規定する期間から当該各号に掲げる期間を控除して、同項の規定を適用する。

この条文から明らかなとおり、

「偽りその他不正の行為」がある=延滞税の除算期間がなくなるのであって、「重加算税=延滞税の除算期間がなくなる」ではありません。

しかし一方で、実務上は「重加算税=除算期間の特例を除外」となっており、実際に延滞税が高くなっています。

これはなぜかというと、個別通達が存在するからです。


ここに「重加算税が課されたものである場合」と記載があるため、実務上(税務署)は「重加算税=延滞税の除算期間なし」としています。

しかし、国税通則法第68条と70条がまったく別個の規定であるとおり、「隠ぺいまたは仮装」≠「偽りその他不正の行為」ですから、この個別通達の規定は明らかに
法令の規定とは違うと言わざるをえません。

この点に関しては、おそらくですが誰も実務と法令との相違を訴求したことがないと考えますので、今後訴求して問題視していけば対応が変わる可能性があります。

重加算税に関する考察は深くする必要がありますし、特に「偽りその他不正の行為」との違いは明確にしておくことが大事になります。

重加算税でご不明な点は大阪池田駅・川西能勢口駅から徒歩15分「高原誠一郎税理士事務所」までお気軽にご相談下さい。

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