交際費は法人税の計算上、損金の制限が行われるとのことですが、具体的な制限額の計算はどのようになりますか?
資本金と事業年度によって計算が異なる
平成26年4月1日以後開始する事業年度においては、中小法人(資本金1億円以下)は800万円までは全額が損金になります。反面、大法人(資本金1億円超)は、一定の飲食費用を除き、全額が損金となりません。ただし、近年の税制改正の影響で、事業年度ごとに計算が大きく異なっていますので、注意する必要があります。
平成26年4月1日以後開始する事業年度においては、中小法人(資本金1億円以下)は800万円までは全額が損金になります。反面、大法人(資本金1億円超)は、一定の飲食費用を除き、全額が損金となりません。ただし、近年の税制改正の影響で、事業年度ごとに計算が大きく異なっていますので、注意する必要があります。
【解説】
交際費等の損金不算入額の計算は、中小法人(原則として、各事業年度終了時における資本金が1億円以下の法人が該当します。)と大法人(原則として、各事業年度終了時における資本金が1億円超の法人が該当します。)とで異なっています。
法人ごとの区分だけではなく、平成25年度と平成26年度の税制改正により、法人の各事業年度に応じても、それぞれ異なる計算を行うこととされています。具体的には、以下のような計算を行います。
●中小法人(原則として期末資本金1億円以下の法人)の場合
イ 平成26年4月1日以後開始する事業年度
(図1)平成26年4月1日以後開始する事業年度の交際費等の損金不算入額(中小法人)
平成26年4月1日以後開始する事業年度においては、年800万円の支出額までの全額を損金とするか、交際費を接待飲食費とそれ以外の費用に分け、接待飲食費の50%部分のみを損金とする(以下、「接待飲食費に係る50%基準」といいます。)か、いずれか有利な計算を行うことになっています。
なお、年800万円まで、という損金算入が認められる支出額の基準(以下、「定額控除限度額」といいます。)については、事業年度が1年間であれば問題ありませんが、1年未満であれば、以下の計算により算定した金額となります。
1年に満たない事業年度における定額控除限度額の計算
800万円×(その事業年度の月数)/12
●平成25年4月1日以後開始する事業年度(イの事業年度を除く)
(図3)平成25年4月1日以後開始する事業年度の交際費等の損金不算入額(中小法人)
平成25年4月1日以後開始する事業年度(平成26年4月1日以後開始する事業年度を除きます。)においては、定額控除限度額である年800万円までの支出額の全額が損金になる、とされています。つまり、先の例における接待飲食費の50%部分のみを損金とする、という仕組みがこの事業年度についてはありません。
なお、年800万円までの定額控除限度額について、事業年度が一年未満である場合の計算は、先の例と同様です。
ハ 平成25年4月1日前に開始する事業年度
(図4)平成25年4月1日前に開始する事業年度の交際費等の損金不算入額(中小法人)
平成25年4月1日前に開始する事業年度においては、年600万円までの支出額の90%が損金になる、とされています。
なお、この年600万円という定額控除限度額は、平成21年度の税制改正で増額された基準で、それまでは年400万円という基準でした。蛇足ですが、平成21年度の税制改正前の交際費等の損金不算入額の計算方法は、定額控除限度額である年600万円が年400万円となるだけで、その他は同じです。
その他、年600万円までの定額控除限度額について、事業年度が一年未満である場合の計算は、先の例と同様です。
●大法人(原則として、期末資本金1億円超の法人)の場合
イ 平成26年4月1日以後開始する事業年度
(図5)平成26年4月1日以後開始する事業年度の交際費等の損金不算入額(大法人)
平成26年4月1日以後開始する事業年度においては、接待飲食費に係る50%基準が適用されます。大法人の場合、交際費は全額損金にならないという考え方がありましたが、平成26年度の税制改正により、一部損金として認めるべき、として設けられたのがこの制度なのです。
●平成26年4月1日前に開始する事業年度
(図6)平成26年4月1日前に開始する事業年度の交際費等の損金不算入額(大法人)
平成26年4月1日前の事業年度においては、大法人の交際費はそもそも損金にならないという考え方の下、支出金額を問わず、全額が損金にならない、という取扱いとなっています。
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高原誠一郎
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