賃貸用マンションの区分所有者となった者が管理規約に従って管理組合に修繕積立金を支払うことがあります。
この場合の修繕積立金は、不動産所得の計算上、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、修繕費が完了した日の属する年分の必要経費に算入することが原則的な取扱いとされています。
なぜなら、修繕積立金は、マンションの共有部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積立られるものであり、実際に修繕等が行われるまでは具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないと考えられるためです。
しかし、修繕積立金は区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものです。
また、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととしているのが一般的です。
そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、次の事実関係の下で行われている場合んいは、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられます。
- 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
- 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
- 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
- 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること
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高原誠一郎
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