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職権による減額更正は強制か?

(2013年4月16日 08:30)
更正の請求の期間が延びたことで、今後はより一層、
「更正の請求」と「(職権による)減額更正」の
差がなくなるものと考えられます。

しかし、です。不思議に思ったことはないでしょうか?

例えば税務調査で、結果として税額が過大になっていた場合、
調査官が気付いたのですから、職権による減額更正をしてくれればいいのだと感じますが、実際のところわざわざ減額更正をしてくれる調査官は少ないのです。(もちろん本来の処理は減額更正です)

これはもちろん、調査官の仕事は(追加的に)課税することが本音ですから、
税務調査をして税金を還付するなんてことは、
調査官の心情的には理解できないでしょう。

しかし、調査官は法律を守らなければならない立場である以上、税額が過大であった場合(粉飾を除く)、5年以内であるならば当然に職権による減額更正をしなければなりません。

では税務調査の際に、税額が過大であることが判明し、
職権による減額更正を求めたところ、断れて
「更正の請求もしくは更正の申出をしてください」
と言われたら、調査官の言い分は正しいのでしょうか?

特に、現在は更正の請求の期間が1年しかできない(つまり期間が過ぎている)事業年度も多く、
更正の申出という行為自体は、法律行為ではないため、
還付されなかったとしても不服申立てをすることができないため、
納税者としては確実に還付される減額更正を望むのは当然のことだと考えます。

そもそも、法律として「更正の請求」と「(職権による)減額更正」は別規定になっています。

国税通則法第23条(更正の請求)
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、
当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年
(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、九年)以内に限り、
税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等があつた場合には、
当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。


ここで大事なのは、第1号です。

当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。

つまり、更正の請求は「法律の適用誤り」があった場合か、
「計算誤り」があった場合にしかすることができません。
この点、職権による減額更正とは明確に違っています。

国税通則法第24条(更正)
税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、
その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が
国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、
その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、
その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。


ここでなかなかに面白いのは、更正の請求が税務署内でどのように取り扱われているか、と考えると、

(納税者が)更正の請求
→税務署内で職権による減額更正の処理

なのです。この点、税務大学校で使われている教科書にも記載があります。

「じゃあやっぱり、更正の請求と減額更正は同じじゃないか!?」という意見が正しいように感じます。

先に結論を書いておくと、判決等を調べてみると、税務署側に職権による減額更正の「義務はない」のです。

つまり、税務調査などで税額が過大であることが判明しても、
職権による減額更正をするかどうかは税務署側の判断であって、
減額更正をする義務はないということです。

これはいわゆる「更正の請求の排他性」という、
更正の請求の立法趣旨から解釈されています。

更正の請求と減額更正に違いがないのであれば、税務署に申し出て職権による減額更正を求めることができます。

しかし、これらの手続きは法律的に違うため「職権による減額更正をしてくれ」とは言えないのです。

あくまでも「職権による減額更正は強制か?」
と聞かれると、税務署の任意と答えるほかありません。

税務調査等で税額が過大である事実が判明した場合、

  • 1.とりあえず調査官に職権による減額更正をお願いしてみる(ダメと言われても仕方ない)
  • 2.ダメなら更正の請求もしくは申し出をするしかない
  • 3.還付されない場合、更正の請求部分に関しては不服申し立てをする

という流れになります。
税務上大事なことですのでご参考までに。

減額更正でご不明な点は大阪池田駅・川西能勢口駅から徒歩15分「高原誠一郎税理士事務所」までお気軽にご相談下さい。

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